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書評「SEの「品質」力 」

幸地 司 (著) , 内山 幸央 (著) , 技術評論社

マネジメント

概要

品質問題に対して独学・自己流で挑まざるを得ないSEが、その解決のツールとしての品質管理の考え方を学べる入門書。多くのSEを悩ませる品質問題を紹介し、それに対してどのような考え方やツールが有効であるかを解説する。

本書の使い方

第1~2章 開発現場において直面しがちな典型的な品質問題を改めて整理することができる。
第3~5章 開発現場で品質管理に役立つツールや品質問題の解決にあたっての考え方を学ぶことができる。

何を学べるか

第1章 古くて新しい品質問題
ソフトウェア品質管理の難しさと重要さに関する話題を紹介する。目に見えないソフトウェアの品質をどのように扱うか。組織にありがちな「動けばいい」派と「基準を満たせばいい」派という二大勢力の蔓延、開発メンバー間で品質意識を共有する難しさと、その背景である世代間のギャップと分離開発などを説明する。その上で、これからの「できるSE」に求められるスキルは、巧みに組織をマネジメントし品質を確保する、品質管理の力であることを説く。

第2章 初級SEにありがちな6つの誤解
初級SEにあリがちな品質管理に対する「誤解」を取り上げ、その代わりに持つべき考え方を示す。 「品質管理とはテスト技術のことである」、「最新技法を導入すれば品質は良くなる」、「品質管理を強化するとコスト・納期が増す」、「バグがあってはならない」、「私=つくる人、あなた=なおす人」、「ISOを取得すれば大丈夫」など、6つの代表的な「誤解」に対して、具体例を交えてわかりやすく解説する。

第3章 問題解決ツールを活用しよう
開発現場で品質管理に役立つ実践的なツールを紹介する。 「チェックシート」、「マトリックス表」、「パレート図」、「散布図」といったQC7つ道具や、「ロジックツリー」、「根本原因分析」といった問題解決法の使い方を、具体的な事例とともに紹介する。

第4章 品質崩壊を招く「落とし穴」
チームマネジメントの観点から、品質問題を致命的なレベルまで悪化させてしまう「落とし穴」を紹介する。「甘い見通しで見切り発車」、「減点主義で蔓延する、事なかれ主義」、「人間の活動であることを忘れる」、「観点と基準に欠ける『場当たり対応』」、「事実を見ずに思惑で動く」など、どこの開発業務の日常にもありがちな5つの「落とし穴」のパターンを取り上げる。

第5章 進化する組織が品質を高める
本書のまとめとして品質管理おける重要な点を述べる。 チームの中の個人個人が成長することの大切さ、改善の積み重ねが攻めに転じること、PDCAがあたらめてすべての基本であること、「明日」の品質管理を行うこと、が述べられる

補章 グローバルソーシング時代に生きるSEのキャリア開発
中国人SEの基本能力の高さを紹介しながら、これからのグローバル時代に、日本人SEが身につけるべきスキルとキャリアを考察する。日本人にとって正直さと品質マネジメント力が今後の競争の鍵を握ると著者は説く。