ソフトウェアテストとは、ソフトウェアが仕様通りに動作するかを確認し、検出されたバグを修正する工程です。品質の高いソフトウェアをリリースするためには、より質の高い確かなテストを行うことが重要であり、確かな見識が求められます。
ソフトウェアテストに関する資格取得は、見識を深めるための手助けになってくれるでしょう。本記事では、ソフトウェアテストの実施に役立つ代表的な資格を4つご紹介します。
- もくじ
1.ソフトウェアテスト業務に役立つ資格4つ
ソフトウェアテスト業務に役立つ資格は主に以下の4つです。
認定テスト技術者資格(JSTQB) |
ソフトウェアテストに関する国際的な資格認定団体である「ISTQB」の加盟組織として認定されているため、国際資格として世界的に通用する資格 |
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ソフトウェア品質技術者資格認定(JCSQE) | 「JUSE Certified Software Quality Engineer(ソフトウェア品質技術者資格認定)」の略称であり、ソフトウェアの品質技術を高めると共に、継続的・効果的に品質向上を目指すための認定資格 |
IT検証技術者認定試験(IVEC) | IT検証技術者認定試験の略称であり、一般社団法人IT検証産業協会が認定するテストエンジニアの資格 |
基本情報技術者試験(FE) | 経済産業省が認定している情報処理技術者試験の中の一つで、最先端のIT技術の知識や技能が一定以上の水準を有していると認める国家資格 |
次章からそれぞれ詳しく解説していきます。
2.認定テスト技術者資格(JSTQB)
JSTQB 認定テスト技術者資格は、JSTQB が運営している認定資格のことを指します。
JSTQBはソフトウェアテストに関する国際的な資格認定団体である「ISTQB」(International Software Testing Qualifications Board)の加盟組織として認定されているため、国際資格として世界的に通用します。
アメリカやイギリス、ドイツ等、ISTQB連携のテスト技術者資格との相互認証を行うなど、世界でも通用するテスト技術者の育成を掲げ、Foundation Level(以下「FL」)とAdvanced Level(以下「AL」)を用意しています。
Foundation Level
「Foundation Level試験/資格試験」(JSTQB FL、以降「FL試験」と呼称)は、JSTQBの試験の中で、基礎ともいうべきレベルの資格試験です。
基本的なソフトウェアテストに携わる仕事を担当されている方、その他ソフトウェアテストに関心がある全ての方を対象にしています。
試験時間 |
60分 |
実施形式 |
40問(40点満点)の選択問題 |
合格ライン |
正解率:65%(26点)以上 |
受験要件 |
特になし。 |
過去の合格率 |
50~70%前後 |
Foundation Level <自動車ソフトウェアテスト>
Foundation Level <自動車ソフトウェアテスト>は、自動車ソフトウェア担当者向けのものです。
自動車関連のソフトウェアは、IoT、コネクテッドカー、自動運転技術など、技術革新もあり年々高度化しており、モデルの数と複雑度が増加し、目標が多様化して複雑さが増大しています。
また、イノベーションに対する大きなプレッシャーやコストダウン圧力によって特別な課題が発生していると認識されていました。
そのため、自動車ソフトウェアに特化した資格として登場しました。
試験時間 |
90分 |
実施形式 |
40問(75点満点)の選択問題 |
合格ライン |
正答率:65%(49点)以上 |
受験要件 |
以下のいずれかの条件を満たしていること ・「JSTQB認定テスト技術者資格」FL資格試験に合格している ・日本以外のISTQB加盟国の FL資格試験に合格している |
過去の合格率 |
50~60%前後 |
Advanced Level<テストマネージャ>
テストマネージャ(TM)はソフトウェアのキャリアで上級に到達している人を対象としています。
シラバス内において対象者は、「テスト担当者、テストアナリスト、テストエンジニア、テストコンサルタント、テストマネージャ、ユーザ受け入れテスト担当者、ソフトウェア開発者などを含む。」としています。
K1(記憶)レベルの知識が試験対象ではありますが実務経験が求められます。
試験時間 |
180分 |
実施形式 |
65問(115点満点)の選択問題 |
合格ライン |
正答率:65%(75点)以上 |
受験要件 |
以下のすべての条件を満たしていること ・JSTQB認定テスト技術者資格FL資格の合格者、またはJSTQB以外のBoardのFL資格の合格者 ・申し込み時点で業務経験3年以上(業務経歴申請書の提出が必要) |
過去の合格率 |
6~30%前後 (年によって差あり) |
Advanced Level<テストアナリスト>
テストアナリスト試験は、テストに関与する人々、およびソフトウェアテストの知識のさらなる向上に関心を抱いている人々すべてを対象にしています。
テスト分析、テストコンサルティング、およびソフトウェア開発などの活動を行っている人々が含まれるとされています。
試験時間 |
120分 |
実施形式 |
40問(80点満点)の選択問題 |
合格ライン |
正答率:65%(52点) 以上 |
受験要件 |
以下のすべての条件を満たしていること ・JSTQB認定テスト技術者資格FL資格の合格者、またはJSTQB以外のBoardのFL資格の合格者 ・申し込み時点で業務経験3年以上(業務経歴申請書の提出が必要) |
過去の合格率 |
6~40%前後 (年によって差あり) |
3.ソフトウェア品質技術者資格認定(JCSQE)
JCSQEとは、「JUSE Certified Software Quality Engineer(ソフトウェア品質技術者資格認定)」の略称であり、ソフトウェアの品質技術を高めると共に、継続的・効果的に品質向上を目指すための認定資格です。
ソフトウェア品質技術者資格認定では、「すべてのソフトウェア技術者に品質技術を身につけ、実践していくことにより、ソフトウェア品質の向上を実現すること」を目的としています。
試験は、レベル別に分かれており、現在は初級と中級のみであるものの、上級試験に関しても新設が予定されています。
JCSQE<初級>
出題形式は選択問題のみの計40問、試験時間は休憩なしの60分となっています。
出題範囲は初級シラバス(Ver.3.0)に準拠しており、シラバス内の知識レベル1〜3で出題されます。
試験時間 |
60分 |
実施形式 |
40問の選択問題 |
合格ライン |
正答率70%前後 (難易度によって前後あり) |
受験要件 |
特になし |
過去の合格率 |
20~40%前後 |
JCSQE<中級>
休憩なし120分の試験時間で、選択問題25問のほかに記述問題17問もあります。
記述式問題は、穴埋め、説明、解説の三種類が出題されます。
出題範囲は、中級シラバス(Ver.3.0)に準拠しており、選択問題に関しては知識レベル2~3、記述式問題に関しては知識レベル3~4から出題されます。
試験時間 |
120分 |
実施形式 |
選択問題25問・記述式問題17問 |
合格ライン |
正答率70%前後 (難易度によって前後あり) |
受験要件 |
特になし |
過去の合格率 |
10~20%前後 |
4.IT検証技術者認定試験(IVEC)
IVEC(アイベック)とは、IT検証技術者認定試験の略称であり、一般社団法人IT検証産業協会が認定するテストエンジニアの資格です。
テストの現場における実務を重視しています。2024年の春期試験から試験クラスや受験形式が変更となりました。
出典:IVIA
試験時間 |
アシスタント:60分 テスター、デザイナー、アーキテクト:120分 |
実施形式 |
アシスタント:インターネットでのPCによる解答(IBT) テスター、デザイナー、アーキテクト:試験会場でのPCによる解答 エバンジェリスト:事前調査・小論文 |
合格ライン |
不明 |
受験要件 |
特になし |
過去の合格率 |
50~60%前後 |
基本情報技術者試験(FE)
基本情報技術者試験は、経済産業省が認定している情報処理技術者試験の中の資格であり、略称は「FE」です。
自己のスキルアップや能力レベルの確認だけではなく、企業等、組織での活用やIT知識・技能の共通の評価指標として活用することを目的としています。
試験制度の発足は1969年と長い歴史を誇り、最先端のIT技術の知識や技能が一定以上の水準を有していると認める国家資格です。そのため試験は年に1度しか行われていません。
午前試験では知識を問われ、午後試験では技能を問われ、その両方に合格することによって資格を取得することができます。また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に認定されたeラーニング講座などを受講していれば、午前試験が1年間免除される「午前免除制度」もあります。
試験時間 |
午前・午後の2部制でそれぞれ150分 |
実施形式 |
80問(100点満点)の選択問題 午前は知識・午後は技能 |
合格ライン |
正答率:60%(60点)以上 |
受験要件 |
特になし |
過去の合格率 |
25~40%前後 |
まとめ
今回は下記の4つの資格を紹介しました。
- 認定テスト技術者資格(JSTQB)
- ソフトウェア品質技術者資格認定(JCSQE)
- IT検証技術者認定試験(IVEC)
- 基本情報技術者試験(FE)
いずれもソフトウェアテスト関連の資格ではありますが、それぞれ特性の異なるものなので、資格取得を目指しているのであれば自身のキャリアや環境等を踏まえ、目的に合った資格の取得が望ましいです。
資格を取得することで自身のスキルを分かりやすくアピールできるだけでなく、資格試験合格を目指した勉強もまた、自身のスキルアップにつながります。
また、Qbookから講義型のeラーニングや問題集型のテス友を公開している資格もあるので、是非ご活用ください。